東京地方裁判所 昭和41年(ワ)2484号 判決
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【判旨】
判決は、係争地の売買契約成立の事実を認定したうえ、
(二) そして<証拠>によると、長五郎は昭和三四年五月三日に死亡し、同人の相続人間における遺産分割協議の結果、本件土地に関する権利義務は被告が相続するに至つたことが認められるほか、<証拠>によると、本件土地は、右のとおり被告らに売り渡された当時は農地(畑)であり、その後被告らにより一時耕作、苗木の植樹等がなされたものの、しだいに放置されたため右の苗木等が成長、繁茂するに及び、昭和四〇年ころにおいては農地としての形状を全く失い、背の低い灌木類が密生した雑種地ともいうべき状態に変化するに至り、最近においても、被告により若干の手入れがなされているものの、ほぼ同様の状況であることが認められ<る。>
そうであれば、本件土地は少なくとも昭和四〇年ころ以降農地としての性格を喪失したものというべきであり、また本件土地付近が都市計画上の公園敷地とされている状況にあることは前記のとおりであるほか、本件土地が農地以外のものになつた事情が右のとおりである以上、本件土地の売買契約は農地法所定の都知事又は農業委員会の許可を得ることなく完全に効力を有するに至つたものと解するでが相当である。
(三) したがつて長五郎の相続人でもある被告は少なくとも昭和四〇年以降本件土地の所有権を有効に取得したものと認められ、被告の抗弁Ⅰは理由があるものというべきである。<中略>
第二丁事件について
一請求の原因1(一)(二)については前記第一、一2で判示のとおりであり、抗弁については前記第一、一3で判示のとおりである。
なお、右でみたとおり、本件土地は既に農地としての性格を失つたものと認められるが、右土地の登記簿上の地目は、<証拠>によると「畑」とされていることが認められるところ、地目の認定、所有権移転登記上これを認めるに必要な要件の判定は第一次的にはこれを判定する行政官署によつてなされるところであるから、被告がその危険を避けるため右登記簿上の表示に従い、原告に対し、右土地の所有権の移転について世田谷区農業委員会に対し農地法三条所定の許可申請手続をなすことを求め、また右許可があることを条件として右土地の所有権移転登記手続を求める以上、そのこと自体をあえて理由がないものとして排斥するのは相当でなく、右請求をそのまま認容すべきものと考える。
二したがつて原告は被告に対し請求の趣旨記載のとおりの許可申請手続及び所有権移転登記手続をなす義務があるものというべきである。
(川上正俊 持本健司 田邊直樹)